南部靖之氏
「日本におけるインドITのビジョン-
日本市場に対するITの人材資源の創造」




今日はここに参加させて頂いて色々なお話を伺って、2つのご提案をしたいと思っています。
まずその前に、私とインドの関係についてお話しますと、子供の頃、私は自宅の近くにある仏教のお寺に通って、そこの住職から色々な教えを受けながら育ちました。そして学生時代には、今から30年以上前のことになりますが、インドに1年近く住んでおりました。インドで通称『日本寺』と呼ばれているアグラ城のあたりで、いろいろな友人ができました。その友人たちが今、インドで活躍しており、その友人たちのおかげで私とインドは強く結ばれています。
そのとき、インドの友人が教えてくれた言葉で、「バラン サラナン ガッチャーミン  ブッダン ナヴァン ガチャーミン」という言葉があり、今でも非常に印象に残っています。今もその友人たちを通じて、また、新しい友人を通じて、インドに行くチャンスが多々あります。そして、友人たちが日本に来た時には、私の家でパーティを開くこともあります。

2つの提案の前に、まず私の仕事についてお話しましょう。私は人材派遣を衷心とした人材ビジネスを行っているのですが、そのなかで、国内のみならず、日本とアジアの各国を結ぶ、つまり、日本で勉強して自分の母国で仕事をしたいという留学生を現地の日本企業に紹介するような事業を20年近くやってきています。アジアだけでも、香港や中国、台湾、シンガポールなどの各国に拠点があり、インドでのビジネスをてがけることもあります。
これらをふまえて、2つの提案をしたいと思います。


今、森前首相が三年前にインドを訪問したというお話がありましたけども、その際、IT技術者を日本に受け入れるためのビザの問題にも私どもが関わりました。朝日新聞のトップニュースに「インド人雇っちゃおう」というタイトルで、私どものインド人技術者の派遣事業の記事を載せてもらった事もあります。日本のIT技術者はまだ世界レベルには達していません。だからこそ、インドの高度なIT技術を持った方々を招聘することを考えたわけですが、文化の違いや言葉の違いとか、問題は色々ありますけども、日印の100周年を機にして、日本企業とインド企業が資本を出し合い、またインド政府と日本政府がそれを援助し、IT大学院大学、工科大学、情報工科大学といったもの日本に設立をしてはどうかと思います。特区を設けて、いろんな規制を緩和し、IT大学院大学をこの東京に創る―、これが一つ目の提案です。

また、今から10数年前、私はアメリカのフィラデルフィアにあるテンプル大学の日本校の理事長を務めました。その時には、規制のために大学として認められないなど、色々な問題がありました。しかしこの度、特区内では大学として申請することが可能になりました。それと同じように、10年、20年かかるかもしれませんが、急がば回れで、IT大学院でトップレベルの人材を育成しながら、関係を深め、企業にも浸透していけばいいと思います。
日本政府にも協力してもらいって、資金を出したいという方がいましたら、「この指とまれ」でお願いしたいと思います。日本の企業にも声をかけたいと思いますし、私の友人を通じて、インドの企業にも声をかけたいと思っています。IT大学院、情報工科大学を創る事によって、e-ジャパン構想を人材面で加速させていきたいと思います。

二つ目の提案は私の本業に近いものなのですが、現在、インド企業の日本への進出が進み、たくさんのインドの方が日本で働いておられます。日本の企業から受注を受けて、「アウトソーシング」で仕事をするという形です。ビザの問題など、いろんな問題がありますけども、少しずつ良くなってきていると私は思っています。しかし、このようにインド企業の日本駐在事務所に籍を置いて、日本の企業の仕事を請け負って仕事をするという形だけではなく、私はインドの方々が「人材派遣」という形で、1、2年日本で仕事が出来るようなビザを発給してくれるように日本政府に求めて行きたいと思っています。

先ほどお話したように、日本で勉強した方々が本国に戻って仕事をする、というような国際的な人材斡旋もやっています。斡旋に関して問題はないのですが、国際的な人材派遣ができるビザを、経済特区で許可できないかと考えている訳です。このインターナショナルな人材派遣会社を日本とインドの企業で作って推し進めたいと思うのですが、ビザをはじめ、様々な問題があってなかなか出来ません。まずはビザの問題が解決されれば、その他の問題も一挙に解決されるのではないかと思っています。

2つの提案に加えて、もうひとつ、言うならば3つ目の提案として、特定のプロジェクトでは日本の企業がインドで空港やダム工事などをもう既に受注していますけども、例えば、日本のゼネコンから優秀な技術者が人材派遣でインドに行き、インドからはIT技術者がこちらへくる―。例えば1年間で1万人、あるいは2年間といった具合に、人数と期間を決めて派遣という形で人材交流をやるという仕組みができれば素晴らしいなと思っています。確かにクリアしなければならない難しい面もあります。言葉の面から見ても、インドはアメリカには入りやすい、日本から見れば、今まではインドよりも中国の方が入りやすかった。中国の人は顔も肌の色も日本人に近いですし、言葉も漢字で分かりやすい。実際我々も、中国には支店があります。

そういう意味では、インドとの人材交流は難しいわけです。しかしその難しい問題を、まずは国家間、企業間の協力で大学院大学を作り、友好関係を作りながら解決するのが一番だと思います。二つ目に、ビザの問題を解決しながら人材派遣を可能にしていく。そして、できれば日本とインドで人数を決めて、例えば日本のゼネコンが向こうに行って千人単位で一つの事業をこなしていく、というような壮大な人材派遣を国家間で進めることができたら面白いと思います。新たな雇用が生まれますし、日印関係の100周年の大きなイベントの実績になるのではないかと思います。結果、e-ジャパン構想に貢献できればと思っています。
日本とインドの経済人が中心となって、是非こうした提案を実現につなげていきたいと思っています。
司会:ありがとうございました。すばらしいご提案でした。これをぜひ実現していただきまして、日印の人材の交流につなげていただきたいなーと思っております。
続きまして新生銀行の執行役員のジェイ・デュイベティさんをご紹介いたしたいと思います。ご承知の方も多いかと思いますが、シティ銀行から新生銀行に移られた社長は、インドの方を連れて来られた、そのうちのお一人と伺っております。
私が見た新聞報道ではその方たちは最初、新生銀行のシステムにいくらかかるかという提案があった時に、約600億円かかるということだったらしいんですが、結果としてジェイ・デュイベティさんなんかがお使いになった金額は60億円と10分の1の費用でもって新生銀行システムを作り上げたと言う事を新聞報道で伺っております。コストカッティングのお話ですと日産のゴンさんが有名ですけれども、ゴンさんだけでなくて、いろんな意味でコストカッティングをなされる方がいらっしゃる。そのうちのお一人として新生銀行のジェイ・デュイベティさんをご紹介いたします。よろしくお願いします。







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