提言&プレゼンテーション NASSCOM代表 Mr.Arun Kumar
NAASSCOM「国立ソフトウェア・サービス企業全国協会」





 まだプレゼンテーションの時間ではないと思うのですが、プレゼンテーションをこれから行いたいと思います。どなたか操作の方お願いします。失礼致しました。操作のお願いをさせて頂きましてありがとうございました。ご列席の皆様、ようこそおいで下さいました。
 さて、本日は国立ソフトウェアサービス企業全国協会、ナスコムを代表してお話し出来ることを非常に光栄に思っております。インドITについて、日本全国でお話をさせて頂くことになりました。東京以外にも、新潟、石川、岐阜そして京都、大阪などでもお話をさせて頂く機会に恵まれております。
 インドと日本は何世紀にも渡り大変友好関係を築いて参りましたけれども、外交関係は1952年の事でありました。その際に2国間で平和協定が結ばれたのであります。1990年代に入って、2国間関係はめざましく伸びて参りました。インドには、より多くの日本の投資が入るようになりました。これは経済自由化政策を受けてのものでありましょう。それと同時に、大変知名度の高い日本の企業が進出して来られました。スズキ、ソニー、三菱、ホンダ、NTT、トヨタ、NEC等々、大変多くの日本企業に進出をしていただいております。
 日本と並びにこの両国のIT企業の協力も、着実に伸びて参りました。日本の森元首相がご訪問頂いて以降、両国政府並びに業界レベルにおいてその協力関係が更に拡大しております。
 今回開催されるセミナーの目的は、まずインドのITについて是非、更に知って頂きたいという事があります。それと同時に、インドのITがどうやったら日本の企業の競争力の向上に寄与しうるか、生産性向上にいかに貢献出来るかということをご説明出来れば幸いであります。
 さて、このナスコムを代表致しまして、今回の仲介の労をとられましたインド大使館、ジェトロ、日印協会、そして日印経済委員会の皆様に、この場をお借りして御礼申し上げたいと思います。
 インドからのITソフトの輸出を見ますと、日本に対しては更に倍増する余地があると思っております。しかもそれは今後4、5年の間に起きる可能性があります。日本のITに関するアウトソーシングビジネスが急速に伸びております。また企業の方でも、更にコスト削減のプレッシャーを感じております。それと同時に品質の改善もしなければならないということで、インドにとって非常に大きなチャンスがあると思っております。
 それと同時に日本は、2005年までに技術者30万人不足が生じると言われております。従ってインドのIT企業は、例えば研究開発、並びに応用技術、開発に様々な形で寄与出来ると思います。例えば、通信、金融、そして銀行、保険、製造、等々において協力出来ると思っております。
 さて、残りの30分というお時間の中で、インドのITについてプレゼンテーションをさせて頂きたいと思っております。今までの業績、並びにインドそのものについてお話し出来ればと思っております。
それではこちらのプロジェクターの方を宜しくお願いします。


 ここではナスコムについてご説明させて頂きます。
ナスコムというのはまさに中核的な組織であり、インドITソフトにおける1つの傘となるような組織であるわけです。ソフト志向のIT成長の1つの触媒でもありました。そして900社が会員企業となっており、これはインドのソフト業界の収益の95%を占めるものとなります。
 またナスコムは、インド政府と密接に協力し政策立案に寄与しております。またそれと同時に、グローバルなITのニーズに応える一つの新基地になりたいと思っております。またナスコムはコンサルタント的な役割も果たしております。インドに進出する方々ないしは、ジョイントベンチャー(合弁企業)、直接進出ないしは戦略的な提携を求める方々に対してそれを実現する役割を果たしております。

 では次にインドについてお話をさせて頂きたいと思います。ここではインドのマクロ経済の姿をご覧頂いております。


 ここで特に指摘したいのは、インドの経済が大変堅調であるということ、そして伸びているということです。まだインドは重要なグローバルなプレイヤーとして認知されつつあります。特に、購買力平価などご覧頂いてもそれは明らかだと思います。また、人口構成も大変優位だと思います。すなわち、現時点のみ成らず50年間優秀な人材供給が出来るということになります。またサービス部門にも目を向けております。そしてまさにITの目的地としての地位を確立致しました。

 さてインドの政治的な展望であります。





 まず、資本制度がしっかりしております。そして大変躍進する民主主義国家となっております。またWTOにも加盟しておりますし、経済改革も行っております。そして2005年には税率が、輸入に関してはゼロに引き下げられることになります。報道では地政学的なリスクについて色々と取り上げているようですが、IT業界、またその他の業界においても代弁出来ると思いますが、はっきり言えます。即ち地政学的なリスクにおいて、中断した生産は一分たりともありません。ダウンタイムは無いということで、大変安定した効果であると申し上げられるかと思います。
 さて、インフラについては、色々とまだコメント出来る点があると思います。またここには政府の目が向かっていると、通信関係のインフラはかなり整備されております。また、電力ならびに道路整備、公安などの整備に関しても色々な努力がなされております。



 世界のビジネスリーダーの方々がインドの潜在能力に対して非常に楽観的な見方をしております。





 GEのジャック・ウェルチ(JACK WELCH)さん、そしてCISCO社のジョン・チェンバース(JOHN CHAMBERS)さん、DELL社のミシェル・デル(MICHAEL DELL)さん、そしてMICROSOFTのビル・ゲイツ(BILL GATES)さんの言葉を引用させて頂きました。平均的に見ればインドは年に一回ぐらいご訪問頂いているようですけれども、多くの企業がインドにバックアンドオフィスを設けておられると、そして何億米ドルというコスト削減が、このようなバックアンドシステムをインドに持つ事で実現されているわけです。GEもインドとの戦略によって、いかにコストの削減が計られたかということを公表しております。





 従って、現在インドはアウトソーシングの前線にいると言ってよろしいでしょう。このアウトソーシングに関わる傾向は非不可逆的なものであります。そしてグローバルな形で勢いを増しています。なぜか?
第一にグローバル企業に対してコスト的なプレッシャーがかかっているからです。第二に、企業はそれぞれの本業に戻ろうとしていると、本業に集中したいと思っているからです。第三にインドの多くの企業が非常に効果的な形でアウトソーシングに適用出来るからです。アウトソースのプラットホームはかなり成熟していると、しかも政府もこれを後押ししております。

 それではインドのITに話を移したいと思います。





 これが業界の概要です。この2年間にわたって世界において非常に大きな変化が見られましたけれども。しかしインドITソフト業界は、その中核的な地位によって28%伸びることがかないました。現在の成長率は30%にまでなっております。現在インドのITは輸出の16%を占めております。そして50万人の雇用を促進しております。

現在どのようにこの業界がなっているのか、そしてこれからくる4、5年はどうなっているのか、という事を図で示しております。





 本日でありますけれども、3社のみでありまして、大体10億ドル、そしてリソース、従業員数は2万強となっておりますが、これはかなり大きく成長するものと見ております。
現在このサービスでありますけれども、殆どがシステムインテグレーション、ネットワークマネージメント、アプリケーション、系でありまして、またビジネスプロセスのアウトソーシング、プロダクトテクノロジーがあります。
 このような形で、非常に付加価値の高いものであり、これからITコンサルティング、ITアウトソーシングという風にしていきます。またより多くお客様の方に近づいていきます。そしてグローバル・デリバリーモデルの方へと入っていきます。
 開発センターはインドだけではありませんで、お客様に近い地域においても設置し開発をしていきます。

 1000を超える企業がさらに自然に増え、そのことが業界の成功に大きく寄与しております。




 そしてこのように多くの企業が寄与することによって、77億ドルというのはここから得ております。また端と端をつないでソルーションを提供しています。
 インドですが、このR&Dの活動というものは、前にお話致しましたけれども、グローバル・リーダーであると言うことでありまして、この色々な事で上手くセーブがされております。インドの中で、この開発をするということで、コストを大体40〜50%のセーブが出来るということであります。そして政府の方で、GDPの2%レベルにこのR&Dの投資を増加するということであります。
 また、その他持ち上がってくるエリアと致しまして、デザインサービス、R&Dなどがあります。アナログ、そしてRF、そしてデジタルデザインなどがあります。このようなスキルというものは非常に多くの半導体の方のデザインということで、よりこのグローバル大手に供給をしていく姿勢になります。

 ITの業界と言いますのは、この業界の成功の鍵というのは、まず、人ということであります。人的な資源であります。





 これが将来、担っているということでありまして、この政府の方でありますが、この産官学の方での参画によりまして、このように本当に必要な技能、これを確保しているということになります。また、このようになっておりまして、将来に関してもこの右のようになります。
 380を越える総合大学、そして1500以上の研究機関、ソフトウェア&サービス産業従事者は、2003年に65万人に増加。また、2008年までにはこのような形での数字は200万人と期待しています。

 このなかで、サポートが必要になっておりまして、これは勿論政府のサポートなしでは上手くいきません。





 この中で、やはりITに関してのステータスなどがありますが、ここでは政策がいくつかあります。
 eートレード、またデジタルシグニチャー等のフレームワーク、そして色々なマルチメディアを配信する、そしてここはまた、ワイヤレス、そして衛星を通じて応答を受けするということです。
 また、お客様のIPRの方も上手く保護をすることが必要でありまして、ナスコムはこれに対しては積極的であります。非常にお客様の方に近く、そしてIPRの方がきちんと保護されるようにと、細心の注意を払っております。

 次にこういった利点、これが本当に保持できるのでしょうかという事について、このコストを見てみます。





 ここで購買平価を見てみますと、大体1対5という様な形になっております。これは先進国と比較をしております。低金利、また、そのインフレ率が低いということであっておりまして、そしてすべての、この中でコストに影響しております。この辺のところが、かなりの優位性ではないかと思っております。
 先ほど申し上げましたけれども、政府、産業、学術界との連携というものも必要になってまいりました。この協力により、このような蓄積が引き続き拡大すると思っております。
 GDPの方は着実に伸びていくでしょう。また、だいたい6〜7%に伸びていくと思われます。これに関しては、やはり、その正しい方向に向かってそしてこのような形で利点を利用して保持出来るものと確信をしております。

 それではこれに関して、例えばこういった多国籍企業と、確固とした基盤のもとにしたインドIT企業との協働ということですが、まず最初に色々な方々が来るということで、かなり過去においてやってきたわけでありますが、非常に高い質、そしてコストが低いということできているわけです。





 また、非常に優秀であり、また、人的な資源が非常に高い質を持っていることであり、また、デリバリーその他、製品の高さがかわれております。また勿論ここで生産の方での収益ということもありまして、それによって人々をインドの方に惹きつけていると思われます。

 なぜ日本の企業がアウトソーシングをするかということでありますが、まず、理由と致しましては、他の世界の企業と同じで、日本の企業に関しても、やはりこの3つのメガトレンドから、この非常に大きな労働力の利点を得ているわけであります。





 ひとつはアウトショア、アウトソーシングでありますが、ハイエンド、そしてローエンド双方に関してこれはバリューチェーンの両方、両極端でありますビジネスのプロセスからの業務処理、そして非常に高い知性を持つような内容まで。
 また2つ目でありますが、ここでは、コストコントロール、また、この中で、なかなかこの労働力の方も効率性というものを期待しております。
 また3つ目には、モニタリング、そしてこのコラボレーションというものもベストを望んでおります。ここで企業は、ますます自分のコア(中核となる)・ビジネスに集中することが出来るわけです。これがアウトソーシング化の利点であります。

 そして日本の企業が、どのようにして収益を入手出来たかということですが、殆どの場合、非常に柔軟性にたけていたということです。





 勿論このインドの企業といいますのは、リソーシング、またそのリソースをどのように配置するか、またそのプライスに関しても非常にこの柔軟性にたけているということが言えます。ですから、お客様の方に非常に柔軟性を持って対処したと言うことです。またインディアヴェンダーは、お客様のプロセスに非常に上手く適応が出来ます。ですからこの中で、ある特定の期間の中で、お客様のプロセスの中に価値をもたらすことが出来、そして非常に良い変化をもたらすことが出来ます。

 次に、日本そしてインドのパートナーシップの成功例でありますが、より多くの日本の企業さんが、このインドのヴェンダーを使っているわけでありまして、大体70強のインド企業が、日本ベースで事業を展開しております。





 インドの企業といいますのは、日本の企業の中で非常に大きなセクターの中に進出しておりまして、テレコムやまたソフトアプリケーションの中で、かなり、この製造という意味でも進出してきております。
 色々なこのビジネスチャンスがありまして、多くの分野がカバーされておりますけれども、非常にこの半導体のデザイン、そしてその他のサービスに関してソフトウェアサービスに関してのビジネスチャンスも大きいということであります。これは先ほども申し上げました。

 いくつかの例がここにございます。サクセスストーリーということでありますが、まず日本の企業の方での成功ということであります。





 インド企業との提携であります。サンヨー、キャノン、NEC、NTT、その他非常に多くの企業がインドの企業をヴェンダーとして使っておりまして、非常に大きな成功を収めております。この中で、非常に生産性も高く、お互いにこの関係は大きく伸びてきています。

 ここでまとめをしたいと思います。





 まず非常に素晴らしい機会があるということであります。この中で、最初にも申し上げましたけれども、インドの方からの輸出というものも可能でありますし、または差別化があります。勿論これで競争力をもって優勢に立つことが出来ます。このグローバルな競争性というものがこれにより高まると思います。
 また、その変化がありまして、そしてそれに関して、日印のITトレードの方にも非常に大きな波が来ると思われます。ご静聴ありがとうございました。




 司会:アルン理事、どうもありがとうございました。今、お話の中にありましたけれども、1つちょっとと思った場面がございましてですね、先ほどスライドの中にインドにいらっしゃってITの色々支えていらっしゃる世界のビジネスリーダーが映されたんですけれども、何かもう一人欠けているんじゃないかと、日本の方がいらっしゃらなかったんですけれども。次回ナスコムさんはですね、発表のプレゼンの中には日本のビジネスリーダーの顔もあそこにお一人でも入ってきたら良いなという風に今思った次第でございます。それから今ご発言の中でインドのITビジネスの輸出が全インドの輸出の16%になるということを、仰っておりましたけれども、まさにインドのITというのは、日本の自動車産業のようなものだなあというような気が致しました。私の記憶では、日本の自動車産業の、全輸出に占める割合が約15%、従って、インドにとってのITというのは、日本の自動車産業のようなものなのかなという感じが今致しました。
 それから今ご発表頂きましたクマール理事は、インドの通信業界を代表する企業の代表もなさっていらっしゃいます。クマールさんのようなITのコミュニケーション専門の方のリーダーシップがあれば、おそらく今日来ていらっしゃって下さった皆さん、日印ビジネスマンのコミュニケーションも、もっとスムーズになっていくのではないかと、期待したいと思っております。どうもありがとうございました。
 では、引き続きゲストの方からのお話を伺いたいと思います。最初に、慶応大学教授でいらっしゃいます、榊原英資教授をご紹介申し上げます。お話は「インドITと日本企業の良好な関係構築について」という題でございます。
 私はご説明するまでもなく、榊原さんは財務官を勤められ、「ミスター円」という異名をとられた方です。インドITにも詳しく、一昨年は「インドIT革命の驚異」といった本も執筆していらっしゃいます。それでは、榊原教授よろしくお願い致します。








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